キスされた…。
『好き』と言われてキスされた。
これは…。
しっかりと唇の感触を味わった後、村河は照れ臭そうな笑みを見せて、俺と目を合わせる。
『私…瞳真くんのこと、好きになっちゃった』
『………』
『クールだと思ってたのに、すごく優しくて…良かったら、付き合ってほしいな?なんて…』
『………』
…俺は今、沈黙を保っているが。
いきなりのキスでドキドキと動揺してるのではない。
ずっしりと落胆してる。
この女…本当に、壊滅的だ。
この手の女には、何度かお会いしたことがある。
一時の感情に身を任せて、本能のままに動く肉食女だ。
清純そうな見た目とは違って。
で、付き合ううちに『愛を感じない』と、違う男のところへフラフラと行き、なぜか俺がNTRされるカタチになるという…いや、全っ然どうでもいい女なので、NTRされてもいいんだけど。
…じゃなくて、何が言いたいのかというと。
この女。
本っ当に、壊滅的なアホだ!
『どういうことだ…』
『…え?』
『おまえ、早霧谷さんにヤキ入れられて、悔しくて泣いていたんじゃなかったのかよ…』
『あ、うん…?』



