『ほ、ホントに伊野くん来るの…?』
耳からスマホを降ろした俺に、村河は恐る恐ると伺っている。
『来る。敦斗と二人でおまえにどうルールを覚えてもらうか考える』
『えっ!ホント!』
『仕方ねえだろ。とことん付き合ってやるよ』
これは、星月のためだからな。
すると、村河は目をうるうるさせて上目遣いでこっちを見ている。
何を感激してるんだか知らねえが、その上目遣いやめろ。
『嬉しい…瞳真くんが付き合ってくれるなんて』
『村河が俺でいいって言うなら、いいんだけど…』
絶対、俺に頼んだのが間違いだったと思うぞ。後悔するぞ。
だから敦斗を呼んだんだ。やれやれ。
でも、これも星月のためだ。
ただ、それだけ。
『瞳真くん…』
星月のために、できること。
こんなどうでもいい、くっだらねぇことしか出来ないけどさ。
『…好き…』
『…あ?』
気が付くと、村河が目の前に立っていて。
下から顔を覗き込まれている。
…あ。
これって…。
気が付いた時には、すでに遅く。
しっかりと唇を重ねられてしまった。
(………)
これって…。



