そう思って、スマホを取り出す。
『瞳真くん、電話?』
『…敦斗呼ぶ』
『伊野くん?』
助けを求める。
ちょうど塩梅の良いヤツがいる。
面倒見が良くて、ここから近くに住んでいて今すぐ来れそうで、信頼出来て。
村河のことを好きなヤツ。
しばらくコールした後、出た。
『…しつけーな。メシ食ってんだよ。何だ?』
『おまえ、もうメシ食ってんの。家着くの早っ』
『もう風呂にも入った』
早い。解散してから一時間経ってねえぞ。
さすがチャリで10分。
そして、年寄り並みの風呂と飯の早さだ。
そんな友人に、無茶ブリをぶっ込む。
『敦斗、今から学校に来い。来なきゃ殺す』
『………』
電話の向こうの敦斗は沈黙した。
『随分、物騒だな。何があった…』
『ワケはこっちに来てから話す。今すぐ秒で来い。来なきゃ殺す』
『だから!俺メシ食ってんだけど!』
『村河が一緒にいる』
『…はっ?はっ?何で?何で美優マネと一緒?…まさかおまえ!デキてんのかぁーっ!おまえはせづマネ一筋じゃねえのかぁーっ!』
『んなワケあるか。だから今すぐ来い』
『…行く!』
ほら。
フットワークが軽いし、村河大好きだから、話に乗ってくると思った。



