…しかし、ここでこいつを見捨てるとなると、後々大変なのは星月だ。
めんどくせーけど、ある程度付き合ってやるしかない。
『…わかった。とりあえず明日帰りな』
『うん、ありがとー!』
明日は始業式。
その帰りに、村河にゲームのやり方をちょっとだけ教える。
親切心と星月のことを考えた事から始まった出来事ではあるが。
…まさか、そこから蓑島に最大の嫌がらせを受けることになるとは、この時は思いもしなかった。
翌日、部活も終わって辺りが薄暗くなった中で、村河を待つ。
先日、村河が泣いていた裏口のベンチで。
村河は『遅れてごめーん』と、慌ててやってきた。
そうして、早速その場で3DSを開いてゲームを始める。
村河のやるゲームの内容を、並んで座るその横から覗いて経過を見る。
…だが。
ゲームになっていない。
『は、早いっ!…動きついてけないよー!わわわ…』
『………』
このゲームが早い、着いていけない。
そこが、俺には理解出来ない。
操作云々の問題で、ゲーム下手なヤツって本当にいるんだな。
こいつ、どうぶつの森しかやったことないだろ。きっと。



