しかし…。
『…ゴールにボールが入ったら、一点ってわかる?』
『それはわかるよ!』
『サッカー何人でやるかはわかるか?』
『…えっと…』
村河は首を傾げながら、指折り数を数えている。
…えっ。
そんなレベルなの?
そりゃ怒られるわ。ホント何見てたの?って聞きたくなるな。
この女のファンである敦斗もガッカリだ。
思わず事細かく説明してみるが、この女はイマイチピンときてないようだ。
確かに、使い物にねらねえ。
こんな素人以下なレベルで使えない状態じゃ、何が大変かって。
まず、大変迷惑被るのは、部員の俺達ではなく…一緒に組んでマネの仕事をする星月だ。
『わ、わかった…。じゃあ、明日いいモン貸してやる』
『え?何?』
『ゲーム。サッカーゲームのソフトだ。百聞より一見にしかず。ルール覚えんのはゲームが一番』
『ほ、ホント?ありがとう…』
『…あと、早霧谷さんはいつもああいう言い方だから気にするな』
『う、うん!』
『と、いうよかは、おまえがルールを覚えてないというよりも、覚えようとしないその態度にイラッときたんじゃねえのか』
『うっ…』
『出来ねえのは仕方ねえ。でも、出来るようになろうと頑張る、意気込みを見せることが大切なんじゃねえの』
『うん…』



