先輩たちが何とかうまくあのエロ男を丸め込んで、向こうに連れていった。
めんどくせー。
しかし、傍で一部始終を見ていた敦斗に『あほ』と額をぺちっと叩かれる。
『先輩に石を投げてはいけません。これで四回目』
『…そうだっけ』
『好きな人をエロ目で見られたくないのはわかるけど、そこを堪えるのも社会のマナーでしょうが』
『………』
ホントに、まったくだ。
ここんとこずっと、イライラしてるんだよ。
このエロ男先輩もそうだけど。
俺のイライラポイントは、やっぱりあの男。
蓑島だ。
一学期が終わり夏休みに突入して。
夏休み中は学校が無いので、蓑島とも会わなくて済む。
…と、思ったら大間違いだった。
夏休み中は、部活がある。
お互い。
ここでもヤツは、俺に絡んでくる。
ここぞとばかりのネタを使って。
『ビバ夏休み!よぉー!三位の水口くんっ!…俺は一位だけどね?…ぷぷぷ』
今度は、体育の時間でも廊下でもなく。
グランドで絡んできやがる。
この一位と三位というのは。
学校祭で行われた、女子による男子の人気投票、ミスターコンテストの順位だ。
なぜこの学校は、こうも男子の尊厳を潰すような催しを開くんだ。