『先生先生ー!先生は何のシャンプー使ってますか?』
『…は?!俺か?!』
『そーですそーです!先生のシャンプーは、マイシャンですか?妻シャンですか?それとも、信頼のカウブランド、牛乳せっけん良いせっけんですか?俺は男性用のマイシャンでっせー!』
『………』
マイシャン?妻シャン?何それ。
せっけんで頭を洗うヤツ、今時いる?
信頼のカウブランドも、そこまでは望んでいないだろう。
思わず先生の頭を見てしまうと、すぐに気付かれ『見るな!』と怒られる。
ちっ。無駄に怒られた。
しかし、先生は苦虫潰す顔ながらも、さりげに蓑島の話に乗っていた。
『俺は妻シャンだ。自分でシャンプー選ぶヒマなんかねえ』
妻シャン、妻のシャンプー。そういうことか。
『へぇーそうですか。…水口は?』
急に話をフラれ、ビクッとさせられる。
この男、唐突だな。
そして、このノリにまんまと乗せられるのだった。
『…俺は、妻シャン』
あっ。間違えた。
母のシャンプー、母シャンと答えるつもりだったが。
つい、言い間違えた。
まるで、十回クイズの罠のように。
『は?!…はぁっ?!…水口、おまえ妻いんの?いんの?』



