『どうだったのよ。試合出れたか?』
『先発ー!何と、後半20分まで!』
『得点は?』
『残念なことに、まだ。でも来週は必ず!』
こうして、お互いの近況報告や、たまにバラエティー番組や芸人の話をする。
仲の良さは今までと変わらない。
…たまには、将来の夢を語り合って。
『私、絶対外国のリーグでプレイする!』
『へぇ?どこの国』
『ドイツかオーストラリア!』
『じゃあ、俺は専属トレーナーでおまえに同伴すっかな。散々稼いでもらうわ』
『瞳真は自分のサッカーしなよ…』
お互い、学ランとセーラー服にそれぞれ身を包んでいても。
同じチームでサッカーしていなくても。
俺達は、ずっとこのまま。
そう思っていたし。
本当にずっとこのままだった。
…あの時までは。
それは、中学生最後の大会をお互い控えていた、中三の一学期。
日差しが一層強くなり、気温と空が夏色に染まりかけていた時期の話だった。
大会を控えて、星月と早朝走りに行くと約束した。
しかし、その前日の夜。
夜中の11時にも関わらず、当時付き合っていた彼女、紗耶香が突然俺の家にやってくる。



