「…星月さぁ」
「は、はい!」
「私と瞳真くんが付き合ってるって、思ってるでしょ」
「…えっ?違うの?」
美優は「やっぱり…」と呟いて、ため息を深くつく。
「蓑島くんから聞いたんでしょ?始業式の日の帰り、一緒にいたの見られてたし…」
「………」
それは、私も見てたよ。
…違うの?
すると、美優は彼から貰ったという半袖のウィンドブレーカーを脱いでいる。
後ろ襟を見せて、私に渡してきた。
「星月、これ見て」
「え…」
後ろの襟元には、英語で名前の刺繍が入っている。
恐らく、前の持ち主…?
美優の彼…。
Atsuto.I
あつと…敦斗?
「えっ…伊野くんっ?!」
美優は深く頷いている。
「…私が付き合ってるのは、伊野くん。瞳真くんじゃないよ」
「………」
絶句だ…。
…え?何?何?
どういうこと?
瞳真と美優は付き合ってなかった…。
で、美優と付き合ってるのは、伊野くん…。
「…えぇっ!…な、何でっ?!」
待って…ちょっと待って!
だって、あの時確かに二人はキスしていて…!



