…いや、どうしたらいいかって、そんなのわかってる。
普通にしていなくては。
普通に話し掛け…。
ふと見ると、美優は見慣れないトップスを着ている。
半袖のウィンドブレーカー、朝が少し肌寒いこの時期にはちょうどいい。
色とサイズからして男物だ。
「美優、その着てるやついいね」
そう声をかけると、美優はバッと振り返る。
「そ、そう?!ホント?!」
嬉しそうな声を出すが、どこかモジモジと照れ臭そうだ。
顔をほんのり赤らめている。
「それ、買ったの?」
何気ない会話のつもりだったんだけど、美優は言いづらそうにモジモジした後、ボソッと呟く。
「い、いや…貰い物」
「貰い物?…誰に?」
「………」
さりげなく聞いてみたつもりなのだけど。
そこで、ハッと気付いてしまった。
メンズの貰い物って。
男から貰った…!
(ああぁぁ…)
しまった。
どうして、触れてはいけないところに触れてしまうんだ、私。
気まずい…。
…と、そう思っているのは私だけ。
だったようだ。
「こ、これ…彼から貰ったの」



