さっきのキスのことが頭から離れなくて、思考が止まりかけてしまう。
せっかく作ってもらったご飯も何だか進まない。
食欲が…。
「…あれ?せづ、ご飯進んでないね。せづの好きなザンギなのに」
「うん…」
「いつも部活で帰り遅いもんね。疲れてるんじゃない?たくさん食べて、お風呂入って!今日は早く寝なさい?」
「うん…」
お決まりのセリフを笑顔で言われる。
疲れてる。
疲れてるよ。
でも、それだけじゃない。
複雑な気持ち。
どうリアクションすべきなのかわからない、この気持ち…。
それは、食後にお風呂に入っている時にも、頭から離れず。
狭い密室に一人という環境で、いろいろなことが頭を駆け巡る。
湯船に浸かりながら、だんだん頭の整理がついてきた。
瞳真に…後ろからギュッと抱き締められた。
何で?何でだろう。
さっきからそればかりだ。
《関係ない?》
《そんなこと、あるかよ》
そう言ってからの、あの行動だった。
っていうか、蓑島くんとのことは本当に、瞳真には関係ないでしょ。
もしかして…怒ったの?



