しかし、私が焦るのをよそに、瞳真は部室をさっさと出ていく。

美優に「…何でおまえがいんだよ」と言い捨て、美優のことも置いて、さっさと去ってしまった。

「だ、だって、敦斗くんが瞳真くんを探してこいって…ま、待ってー!」

そう言いながら、瞳真の後を追いかけて、美優も去っていった。




「………」




部室に一人、取り残された私。



いったい…何だったんだろう。今のは。



どっと力が抜けて、へたへたとその場に座り込んでしまう。




私…キスしてしまった。

人生初のキスを。




…しかも、相手は瞳真で。

半ば強引に、キスされた。

しかも、あんなに数えきれないぐらい、何回も。




(………)




突然の出来事に。

思考はほぼ停止状態だ。

まず、何から考えればいいのか、わかんない。




頭の中が整理つかないけど。

そんな中で言えることは。



これ…まずくない?



瞳真は美優という彼女がいるのに。

理由はよく分からないけど、彼女でもない私とキスして。



これ…浮気、みたいなもんでしょ?

まずくない?



…ああぁぁっ!



温もり天国から一転。

そこは、罪悪感地獄だった。