夢から覚めて、魔法はね。
いつか解けるの。
でも、それにしがみ付くことなく、誰かと愛し愛されたい。
「…え、これ、今ですか…」
「すまん。今日はいろいろと忙しくて、納品されていたのをすっかり忘れてた」
部活も終わり、部員もほぼ帰ったところ。
私も帰ろうと思ったら、ちょうど校舎の前で糸田先生と鉢合わせる。
糸田先生の手には段ボール箱が。
そして、「これ頼むわ」と手渡される。
そ、それはもしや…。
先日、注文した部の備品…。
先生、忙しいのはわかりますが、なぜこんなタイミングで…。
先輩マネや美優はすでに帰っており、姿すらない。
しょうがないので、その備品を先生から受け取る。
見た目の割には案外軽い段ボールを両手で抱えて部室へと引き返した。
陽も暮れて薄暗くなった、誰もいないグランドの端を歩く。
とりあえず、これは部室に置いておいて、今日は帰ろう。
明日、美優とチェックして片付けるかな。
そんなことを考えながら、段ボール箱を持って一人歩いていた。
「…あ、瞳真」
「あ、お疲れ」



