…そして、話の進展もないまま。
四時限目の不在の理由すらちゃんと聞けず、昼休みが過ぎていく。
蓑島くんの他愛もない世間話ばかりで。
お父さんはハンター免許を持っていて、実は家に猟銃が保管してあったとか。
高志さんを不調にした鹿肉は、お父さんが捕ってきたモノだとか。
血抜きしっかりやったのか?と、怒られたとか。
蓑島くんも狩猟をしてみたいだとか。猟友会に入ってみたいだとか。
千葉県の田舎には、キョンという鹿が大量発生しているとか。
とりあえず、鹿。そんな話ばかり…。
熊の次は、鹿。
そんな中で『四時限目どこ行ってたの?』と聞いてみるが。
『男のロマン繰り広げてた』と、誤魔化されそれ以上は何も話さず。
今度は、猪の話を始める。
猪の肉も美味しいとか。
テレビで千葉県の田舎に住むお年寄りが『すでに千葉県はキョンと猪の楽園だ…!』と、被害に困っていたとか。
何だか…いろいろとはぐらかされている感が。
男のロマン?何それ。
…しかし、その『男のロマン』という、四時限目不在の理由は、そんな壮大なものとはあまりにもかけ離れていることを知るのは、もう少し後のこととなる。



