…そして、それはとうとう限界の日を迎える。
その日、母親は兄たちの少年野球の練習に付き添っていて、家には横川さんのお母さんの彼氏との二人きりだった。
今回持ってきた衣装は…サンバダンサーのコスチューム。
露出度が非常に高い、ギラギラに輝いたビジューをあしらった…下着?水着?
お尻の食い込んだパンツを履かされ。
頭には羽根をフサフサとさせた飾りを着けされられ。
随分と大胆な衣装を着させられる。
『ゆらぁーっ!ゆらは何を着ても可愛いよー!今日、12月2日はサンバの日なんだ!ラブリー!セクシー!サンバデジャネイロ!』
…彼氏さんも、相当イカれていたらしい。
羽根とビジューがたくさん着いた金属の冠は、重量があって、頭が重い…。
ほぼパンツとブラジャーである衣装は、真冬には寒い…。
そして、目の前にいるお母さんの彼氏は気持ち悪い。
とうとう、我慢が爆発した。
『いやだ…もう、いやだぁーっ!』
『…あ!ゆら!どこ行くんだ!』
『うわあぁぁーんっ!』
度重なる撮影のストレスが蓄積し、とうとうその場を逃げ出してしまう。
彼氏が手を離せないその隙を突いて、横川さんは走って家を飛び出した。



