「微妙なんだよ。友達以上恋人未満と言いながらも、お互い接し方はもう何年も付き合っているベテランカップル。幼なじみがそのまま何の自覚もなく恋人同士になったみたいな」
「………」
「恋愛感情より、深いのかもしれない。心の繋がり」
幼なじみが自覚がないまま恋人同士に?
恋愛感情より、深い?
そんなの…ある?
「…そんな深い仲になったのは、過去に理由がある」
「過去?」
…それはそれは、だいぶ遡った話となる。
まず、横川さんのお母さんは、ご存知、蓑島くんのお父さん方の先輩で。
縁があって、道東の漁師さんの家に嫁いだ。
横川さんは、漁師のお父さん、それの手伝いをするお母さん、お兄さん二人と道東で暮らしていたという。
しかし、横川さんが3歳の時。
お父さんは漁に出たまま、帰らぬ人となった。
船が高波に飲まれて難破したという。
夫を亡くしたお母さんは、小さい子供を三人抱えて一人で生きていくのは難しく、子供を連れて札幌の実家に戻ることとなった。
それが、今住んでる家。
それから一年後に、後輩である蓑島くんのお父さんが、地元に戻ってきてマイホームを建てた。
そこが、蓑島くんと横川さんの出会い。
4歳の時。



