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「…じゃあ、インディアン水車事件の話する?昔話」

「し、しない!やめてよ!」

「サケの大量捕獲マシーンから命懸けで逃れたサケによる暴挙の被害を被った、いたいけなサッカー少女の話だけど…」

「だから、それ私の話でしょぉが!思い出させないでって!水族館に行けないぐらいのトラウマなんだから…!」





…私も、知っていたんだ。

わかっていたんだ。



お互い励まし合って、支え合って。

『絆』を紡いだ大切な時間があることを。

それを、共に過ごした…人がいることを。







「魚が嫌いだっていうのに、よく筋子の醤油漬け作るって言い出したな」

「だ、だって!御堂キャプテンが筋子おにぎり食べたいって言ってたし…」

「へぇー。御堂さんのために?筋子の醤油漬け作るワケ?へぇー」

「せっかくリクエストしてくれたんだもん。切り身刺身魚卵は大丈夫なんですー?魚の姿が無ければ!…そういや、生筋子どうなったの?瞳真ママ、実家に頼んでくれた?格安なんでしょ?」

「頼んだけどまだみてえ。…そんなことより、インディアン水車の話でもするか」

「…しない!」