ムキになって反論すると、瞳真の顔がどんどん歪んできた。
笑い顔の歪み。
ますます笑いに走る方向…!
普段、そんなに笑わないくせに!ポーカーフェイスのくせに!
「ぶっ…あははは!あははは!」
「笑うな!…笑うなぁーっ!」
「あははは!…笑うなって、何ムキになってんの。ますます笑ってくれって言ってるようなもんでしょ。振り?」
「振ってないぃっ!」
「何その怒り顔。マジで怒ってんの?…ぶっ」
「お、怒ってるよ!笑うな!」
むうぅぅ…つくづくバカにして!
イライラは増し増し。
オシャレしただけで、何でこんなにバカにされるの!
腹立たしい!
信号が青に変わった。
一人で爆笑している性格悪ヤローは、その場に置いていく。
先にずんずんと横断歩道を渡った。
「…あ、星月」
「………」
後ろから追い掛けてきたようだ。
でも無視する。
渾身のオシャレを、デラックス呼ばわりしたこの性格悪ヤローなんて、無視だ。
あの二人のことで大変なショックを受けたにも関わらず、今度は出で立ちをイジられるなんて。
私はそこまで器はデカくない。
「ごめんごめん。そんなに怒るなよ」
「………」
怒るよ。腹立つ。



