考えてもみてよ。
蓑島くんみたいなイケメンが、私のことを本気で好きになるワケがないじゃない。
こんな一介のクラスメイトを。
セクハラ対象だけど…。
甘い言葉を囁かれ、その気になって、調子に乗ってたなぁ…。
デートでプレゼントとか、ハグとかほっぺにキスとか。
プレイボーイの蓑島くんなら、お手の物なはず。
それを、ひょっとしたら…なんて、心の底では期待しちゃっていた、単純バカな私。
もう、笑い話にするしかない。
あはは…。
涙も出てこない。
…夢から醒めて。
魔法はね、いつか解けるの。
…本当に、魔法が解けたような感じだ。
バスが最寄りの停留所に到着し、降車する。
国道沿いにある高校の真ん前の停留所であり、高校とイオンの間にある、少し暗がりの中道を通って一人歩く。
さあ…これから、どうしようか。
蓑島くんとこれ以上一緒にいると、蓑島くんをもっと好きになってしまうかもしれない。
でも…蓑島くんには、横川さんがいる。
ただの幼なじみじゃない。
深い深いところに『絆』がある二人。
この二人の間に、入り込む隙間なんてない。



