「…紫苑先輩!」

「…ん?あ、せづマネ?!」


遠くから呼び掛けると、しばらく探してからこっちに気付いた。


「帰ります!明日、朝練サボらないでくださいよ!」

「…え?帰んの?!…ま、待って!俺も!」

すると、隣の高志さんに頭をぺちっと叩かれている。

「何言ってんの。紫苑、おまえはまだ帰さん!」

「いやいや!な、何を…あ、ま、待って!」


何を待つんだろうか。

まあ、いいや。



蓑島くんのお父さんとお母さんにも挨拶をする。



「き、今日はありがとうございました。楽しかったです…」



数時間一緒だったけど、まだ緊張しちゃって話し方がおぼつかない。

でも、お父さんはにこやかに頷いていた。

「騒がしくて変なのばかりだけど、また来てね?」

「今度は高志いない時においで。アイツうるさいから」

「…は、はい!」

お母さんは蓑島くんそっくりのドヤ顔を浮かべる。

お父さんに「こら!」と、小突かれていた。



はい!って返事しちゃったけど…お母さん、高志さんをとことんディスるね。



「星月、帰るの?」



過剰にドキッとしてしまう。

横川さんが、こっちにやってきた。