「…だから。だから、せづきちゃん。あの子のこと、本当によろしくね?さっき話をしてるの見てたら、あの子はあなたには心開いてるみたいだから…」



私に心を開いてる?

いや、普通の知り合いの会話だったような気もするけど。

…でも、菊乃さんから見たら、それほど横川さんは心を開ける仲良くしている女の子がいなかったってこと…。

蓑島くん、蓑島くんばかりで。




…胸のザワツキの理由が、何となくわかりかけてきた。



何か…何だか。



『違和感』の正体が、わかったような気がする。




「おにぎり出来ましたよー!食べたい方どうぞー!」



その時、蓑島くんの声がして、ふと顔を上げる。

横川さんがたくさん並んだ塩むすびの大皿を持って、その横に並んで歩いていた。

…まるで、蓑島くんに寄り添うように。

その並んでいる二人の姿は、まるで仲睦まじいおしどり夫婦のようだ。



(………)




その二人の様子を見て、唖然とする。

と、同時に気付いてしまう。




蓑島くんと横川さん。

この二人は…デキてるんだ。




お互い無自覚なのか、そうでないのか。

こっそりと付き合っているのかは、わからない。



でも、強い『絆』があるって…。



…違和感の正体は、これ。

『絆』だ。



まるで、罠のように。