(え…)



菊乃さんのその一言は。

私の胸にズキズキッと鋭く刺して。

背中にブルッと寒気ともいえる、震えを感じさせた。



蓑島くんと横川さん。

二人は、無くてはならない、支え合っている存在…?



《わ、わ、わかったって!い、い、いいから離れろっ!恥ずかしいだろが!》

《ううぅぅ…》



…それは、あの試合を見に行った球場で。

人目もはばからず、泣いて抱きついて離れなかったのを見ていれば、一目瞭然。



「…二人には、私達大人にはわからない、見えない『絆』っていうものがあるのは、百も承知なんだけどね?でもねぇ…」



見えない『絆』…?



「でもねぇ、ババとしては、ゆらには男である悠介とばっかりくっついてないで、女の子なんだから、女の子の友達を作って、普通に女の子の友達とワイワイやる楽しみも味わってほしいと思ってるんだけどねぇ…何せ、あの母親が旦那に死なれてから男に狂ってるもんだから、尚さ」

「………」

「悠介とゆら、お互い一緒にいるのが、お互いにとっては一番楽だともわかっているんだけどねぇ…」

「………」