「うーん…」と、声をあげながら体を起こしている。
あくびをしながら大きく伸びた後、バチッと目が合ってしまった。
「…うぉっ!」
「えっ!」
私の姿を見るなり、声をあげて驚愕の表情を見せる。
お父さんと同じリアクション?
思わず私も一緒に声をあげてしまった。
「…おー。びっくりした。お、女の子!」
キョロキョロと挙動不審気味に辺りを見回した後、蓑島くんに訴えるような視線を送る。
「悠介…この子、あんたの友達?」
疑惑混じりに質問するお母さんに対して、蓑島くんは顔色を変えずに答える。
「そうだよ」
「璃里やゆらの友達じゃないよね…?」
「うん。まあ、ゆらには珍しく、よく話す子の一人だけど」
「まさか、よく話に出てくる野球部の西尾じゃないよね?西尾、女の子だったの?まさか西尾、女装してるとかじゃないよね?」
「違うよ。クラスメイトの杉久保さん。お母さん失礼だよ」
「………」
すると、お母さんは私をチラッと見た後、バツの悪そうな表情を浮かべる。
「…うおぉぉー!」
そして、なぜか叫んだ後、シャキッと背筋を伸ばして、あわただしくちゃかちゃかと簡単に髪を直していた。



