「母さん、ただいまー!」
寝ているお母さんの耳元に顔を近付けて、大声を出している蓑島くん。
わざとでしょ…。その顔が悪そう。
すると、お母さんはビクッと体を震わせて「うぉっ!」と叫び声をあげた。
ガバッと体を起こし、辺りをキョロキョロと見回すが、蓑島くんの顔を見ると、またパタッと寝てしまう。
(えっ…)
その顔立ちに、衝撃が走った。
寝ぼけ眼ではあるが、お母さんの顔。
蓑島くんだ…。
蓑島くんと、瓜二つ!そっくり!
蓑島くんは美形でも、ちゃんと男らしい顔立ちをしている。
でも…お母さんは、ちゃんと女性の顔で。
蓑島くんが女性になったら、こんな感じなんだと容易く想像出来る。
そのぐらい似てる…!
そして、美人。
びっくりした。ここまで親子似るなんて。
蓑島くんそのもののようなお母さんは、呻き声をあげていた。
「ああぁぁ…」
「母さん起きて。友達連れてきた」
「ああぁぁもう…悠ちゃん…高志殺してきて…あいつ、しつこいしうるさいし働かないし…」
「母さん、冷凍庫の鹿肉もうないよ」
「ええぇぇ…」
そして、静かになり、また眠りについてしまったようだ。



