「あれ?俺の樹華ちゃんは?」
「あー。寝不足なのに高志がうるさいから怒って中に入った」
「ふーん」
お父さんとそうやり取りをして「家の中行こ?」と、蓑島くんは玄関のドアを指差している。
え?…と、思う間もなく、蓑島くんはどんどん進んで玄関のドアを開けていた。
待って!早い!
お父さんたちにペコペコと頭を下げながら、蓑島くんの後を追った。
「入って入って」
言われるがままに玄関の中に入ると、ドアをそっと閉められる。
「こっち来て」
「あ、うん」
靴を脱いで、とりあえず揃える。
「おいでおいで」
「う、うん」
急かされてしまい、あれだけ気にしていた所作もなんもない。
取り越し苦労?
蓑島くんの家の中は、白系だった。
壁も白、ドアも白。フローリングの床も白。
シンプルだけど、おしゃれな感じがする。
蓑島くんの見た目から、黒いモダンな感じかな?とイメージしていたけど、そのイメージの真逆を行っていた。
「ただいまー」
蓑島くんはリビングのドアを開けて中に入る。
同時に緊張してドキドキしてしまう。
「ただいまー」って、お母さんいるんだよね?
や、ヤバい…。



