「…それから、偶然同じ高校に入って、同じ部活に入って、ようやくそれなりに話せるようになった感じ。…でも、昔ほど話せてないけどね」

「へぇー」



その場の草っぱらの上に座り、膝を抱えて話をする。

蓑島くんは、私のその横に並んで座り、右手にある硬式ボールを握ったまま話を聞いてくれていた。





「…何か、ムカッ腹が立ちますな?」

「…え?」



意外な返答に、思わず声をあげてしまう。

ムカッ腹立つって?どういう意味?



「…彼氏いないのを、サッカーばかりだから?忙しいから?…そんなの、スポーツをバカにしてることでありますよ?」

「…バカにしてる?」

「俺も星月もそうだけど、クラブチームに入ってると、意識高くなきゃやってらんねえんだよ。いつも常にサッカー、野球のことを考えてなきゃなんねえ。こちらとて、お泊まりしてチャラチャラしてる暇なんかねえんだよ。それを…そのせいで、彼氏いないって?バカにすんじゃねえってーの」

「………」

「それに『それもそうだよな』って?…星月は彼氏いなくて当然だよな?みたいなその言い方は。『サッカーが恋人』?…サッカーは人間じゃねえし?星月をバカにすんなっつーの」



蓑島くん、今の口調…ちょっとイラッとしていた。

見たことのない一面に、ちょっとびっくりさせられる。