「ほら。そこのとうきび畑に出たんだ。散々食い荒らしていったんだよ」


そう言って、蓑島くんはすぐ左の大きい畑を指差した。

…え?!ここに?

こんな近く…!



「たぶん、スキー場に住んでる熊が間違って降りてきちゃったんだ。で、ここらの家庭菜園ほとんどやられた。俺んちの周りも練り歩いてたみたいで、笠井さんちの階段に熊が座ってたんだよ。そこテレビカメラで撮られてた」

「か、階段に?!く、熊が?」

「うん。俺んちの裏の笠井さんち」


ここは、同じ市内ですか…?!

蓑島くんちの裏にも、熊が出たなんて!


「あの時は、紫苑くんが『璃里が危ないから俺が蓑島家に泊まり込む!』って大騒ぎ。紫苑くん一人いたってどうにかなる問題でもないのにねー?熊と戦う気?紫苑くんなら食べられて終わりだよ」

「紫苑先輩が…あはは」

確かに。熊、熊って騒いでいた時、あったっけ。

「で、その熊をパークゴルフ場に誘き寄せて、親父の知り合いがバーン!と撃ち殺して、熊騒動終了」

「へぇ…」



まさか、蓑島くんが熊の話をするとは、思わなかった…。

学校1のイケメンが、とうきび畑とかスキー場の熊とか、言うんだよ?

不思議。