「…昨日のお礼」



そう言って、蓑島くんは。

顔を近付けてきて。

私の右頬に…キスをした。



チュッと軽い音が鳴り、頬に押し付けたその唇は柔らかくて。

その温かさと感触に、ビクッと過敏に体を震わせてしまった。



「な!なななな…ちょっとぉっ!」

「昨日は星月が見に来てくれたから、活躍できた。四つ葉のクローバーくれたから、ホームラン打てた」

「そ、それは蓑島くんの実力でしょ!」

「うひひ…でも、星月が見てるから頑張ろうって思ったし?」



も、もう…。

そんな嬉しいこと言ってくれちゃって…。

…はっ!わ、私、騙されないよ?!



でも…唇の触れた頬が、熱を持っている。

それが、私の胸を高鳴らせる。



あの時のハグの場面は頭にちらつくけど…でも、一緒にいると、そんなことが小さく思えてしまって。

必要としてくれている気がしちゃって。

あぁ、私はここに…傍にいていいんだ、なんて思えてしまう。



だだハマり…なのかな。



もう少し…こうしていても、いいかな?



「あー。ほっぺにチューできた。早く口にチューして、おっぱい俺のもんにしたい」

「…こら!もう!」





…しかし。

『違和感』の落とし穴にだだハマりになるのは。

もう、間もなく。