「ねえねえねえ。マイワイフ。今日、お昼一緒にしよ?二人で。二人っきりで。ね?」
「………」
…結局、斗弥子には私の感じた違和感を伝えることが出来なかった。
昼休みもこの男に束縛され…。
「あーん。あーんして」
「………」
躊躇しながらも、蓑島くんのお弁当に入ってる卵焼きをひとつ、箸でつまむ。
恥ずかしい…!
物凄い恥じらいを堪えて、つまんだ卵焼きを開いた口に持っていく。
パクっとあっという間に卵焼きは食べられて、箸から姿を消した。
「んー。おいしー。母さんのいつもの卵焼きだけど」
蓑島くんは、ニコニコしながら口をモグモグさせている。
…二人きりが良いと言われて、着いてきた場所は。
本校舎より小さい西校舎の屋上。
よくわからないけど、ミスター専用の屋上らしい。
ミスコン優勝の景品なんだって。
よくわからないけど…。
すなわち、誰にも邪魔されない。
二人きり。
「昨日、俺頑張ったからご褒美ちょーだい?」
と、言われて要求されたのが、この卵焼きを食べさせてあげること…。



