…私、何でこんなにショックを受けているんだろう。



地下鉄の端の座席に座り、俯いてしまう。

急な揺れに驚くこともなく。




それは…私が蓑島くんのことを。

好きになりかけていた矢先のことだったからだ。



…と、いうよか。

もう、時すでに蓑島くんで頭がいっぱいだ。



野球してる蓑島くん、カッコよかったな…。

いつもヘラヘラしてるセクハラ大魔王なのに。

野球になると、一生懸命な真剣な顔を見せる。

それに、何度ときめかされたか…。



(カッコよかったな…)




蓑島くんの今日の姿を思い出しては、一人で勝手にドキッとときめかされて、一人で勝手に顔を赤くしまう。



…そんな彼が、私を『可愛い』と言って、抱き締めてくれた。



その事をも考えると、ますます胸をキュッとさせられる。



蓑島くんのこと、好きかもしれない。



そんな想いが走って、頂点を上り詰めた。

まさにその時だった。

あの二人の光景は。



崖からドーン!と落ちた気分だ。



(………)



待って。待って待って。



頭の中を整理する。

状況を整理しよう。