(あ…)



今、私は何を見たのか。



私とランニングに行く約束をしていた瞳真は。

今、そこで互いに寝起きの後藤さんと、キスをしていた。



…お互い、寝起き?

後藤さん…瞳真の家に泊まってたの?




どういうこと?

何…してたの?




『…あ』



瞳真がこっちをゆっくり振り向く。

寝起きのダルそうな視線で。

そこに立ち尽くしている私に、気付いたらしい。




『…星月、ごめん…』



頭をボリボリと掻いて、眠たそうにしている。



『忘れてた…』



忘れてた…?

忘れて、後藤さんを家に泊めていたの?

え…何?

二人はそういう仲だったの?



知らない…知らなかった。



瞳真とは、結構お互いの話をしてると思っていた。

でも…彼女の存在なんて聞いたことがない。

知らされてなかった…。



私との約束を忘れて、後藤さんを家に泊めていた瞳真に。

何て言ったらいいか、わからない。

頭の中がごちゃごちゃになった私。




『…あ、わかった。じゃあ一人で行ってくるね』



そのまま、何もなかったかのように。

瞳真と後藤さんをその場に残して、再び走り始めた。