日の出の直後。
スポーツウェアにランニングシューズを纏った私は、家を出て、軽く流しながら瞳真の家へと向かう。
瞳真んちは隣の町内会。
走って10分もかからない。
外は曇り空で、少し薄暗い。雨は降らなさそうだから、大丈夫かな。
そんなことを考えながら、瞳真の家へ向けて軽く走る。
角を曲がると、瞳真の家が見えてきた。
家の前には、人影がある。
瞳真だ。
もう外にいるとか、早い。
瞳真!…と、呼び掛けようと思ったけど。
それは喉の奥に飲み込んでしまった。
瞳真の他に、もう一人…いる?
同時に、走っていた足を弱める。
その人影の正体に気付くと、その足を止めてしまった。
瞳真は、部屋着のTシャツにハーフパンツ。
…決して、外を走る格好ではない。
そして、瞳真の他に、もう一人。
それは…瞳真と同じクラスの女子。
サッカー部のマネージャーである、後藤さんだった。
小さくて、細くて華奢な体をしていて。
美人ですごく女の子らしい子だ。
二人は、私の存在に気付かず、見つめ合って、少しの会話をしている。
よく見ると…後藤さんもいつもより髪を雑に縛っていて、いかにも寝起きだ。
『瞳真と朝まで一緒にいれて、よかった…』
『…ああ』
『…瞳真、大好き』
見つめ合っていた二人。
徐々に互いの顔が近付いていて。
二人の唇が重なる瞬間を、見てしまった。