マイラヴレディ~俺の愛しいお姫様




今までに見た、いろいろな表情の蓑島くんを思い出す。

不敵な笑み、ドヤ顔は鉄板。

…あ、いつもの余裕たっぷりのにこやかな悩殺スマイルを忘れてはいけない。これはニュートラルだし。

でもさっき、レアに驚いたポカーン顔も見てしまった。



そして、バットを握りしめて自主練習している時の、真剣な表情。

個人的には、これがグッとくる。



…さて、どんな顔かって?



この緊迫した空気。

野球をあまり知らない私でも、わかる。



今はきっと。

真剣な表情を見せているに違いない。



審判が出て来て、整列のコールをかける。

両軍選手が一気に飛び出して整列し、一斉に声をあげて頭を下げた。

挨拶を終えて、選手がベンチに戻ってくる。

横に綺麗に並んでいる部員や、後ろにいるOBらがメガホンを叩きながら『攻めていけよ!』『頼むぞ!』などのエールを送り、歓声が沸いた。

それが…一層の緊張感が私に走る。



頑張れ…。

蓑島くんだけじゃない。

みんな、頑張って…!



「頑張って、みんな…」



隣にいる横川さんは、祈るようにグッとメガホンを両手で握っていた。