中3、1学期のとある昼休み。

初夏の空気が漂い、日差しが徐々に強くなるこの時期。



『あ、瞳真』

『星月、お疲れ』



廊下ですれ違う私達。

最近どう?みたいな近況報告は当たり前。

その場で立ち話をする。



『来週から中体連始まるんだ。星月は?』

『今週末、選手権決勝!優勝したら全国だよー!熊本県だって』

『へぇー。頑張ってんじゃん。個人成績はどうなのよ』

『ふふっ。チームの得点王狙ってます!』

『…じゃあ、お互い大事な大会控えてるから、朝に走り込むか?』

『恒例の?そうだね。明日から始めよっか』



私と瞳真は、大事な大会があるこの時期、決まって一緒に朝ランニングを始める。

これはもう、少年団の時から欠かさずやっていることだった。



『じゃあ明日、朝の五時半ぐらいにしとくか』

『オッケー。五時半に瞳真んちに行く』



約束を取り付けて、手を振って別れる。



しかし、それがこの甘酸っぱい恋愛の始まり。

…いや、悲劇の始まりだった。