感情が顔に出ていたのだろうか。

蓑島くんは、「ごめんごめん」と言いながらも笑いを堪えている。

その笑っている顔は、いつもの蓑島くんだ…って、思うとホッとはするけど。



「…で?何?そんなに俺の勇姿見たかった?俺に惚れた?じゃあホテル行く?」



そう言う蓑島くんは、いつの間にか、いつものドヤ顔になっている。

ニヤニヤニヤニヤ…始まった。始まったよ。

不安と緊張でハイテンションになっていたくせに。



けど、そんなこともわかっているから、今回はいつもみたいにムキになったりはしない。



「ホテルには行かない。でも…」



ずっと手に持っていた草二本…もとい、四つ葉のクローバーを、すっと差し出す。



「これ…」



差し出されたモノを覗き込むようにして、じっと見つめる。

その時。

蓑島くんの目が見開いて、顔色が変わった。



「え?…これ」

「…四つ葉のクローバーがあると、ホームラン打てるんだって」

「………」



《ホームラン打てるように四つ葉のクローバーでも探そうかと…》




昔の記憶を辿って、嘘なのか本当なのか分からないネタを頼りにした。