…もし、会えなくても。

この草二本渡せなくても。



応援は、出来る。

彼の姿を見て『頑張って』と念を送ることは、出来る。

幸運のシンボルを胸に抱えて。






…だが。

奇跡ってヤツは、連鎖する。

パチスロのフィーバーのように。





「…星月?」




前進しようとした私の足をピタッと止める。

その、会いたかった人の声によって。




まさか…?




振り返ると、そこには。

ユニフォーム姿に、帽子を被り。

大きめの巾着を腕にぶら下げた、彼がいた。

私の姿を見て驚いた表情、というめったに見せない顔を見せている。




奇跡は、連鎖する。

幸運のシンボルによって。

…なのかな。





「…み、蓑島くん!」