呆れる。試合中だよね…?
グランド整備中でゲームが止まっているとはいえ、何やってんだろう。
しかも、四つ葉のクローバー?
何でそんなもの探す必要があるの?
『いやー。試合負けそうだから、ホームラン打てるように四つ葉のクローバーでも探そうかと』
疑問をぶつけたその返答がこれだ。
しかし、何となく察する。
この人、パニックになってる。
こんな奇行に走るほど。
不安で不安で仕方ないんだ。
そんな四つ葉のクローバーにすがらなきゃいけないぐらい。
おかしくなっているのかもしれない。
スポーツマン、こんなことでいいんでしょうか。
そんなことを考えたら、なお放っておけなくて、私は一緒になって探すことにした。
幸運を運ぶと言われている、四つ葉のクローバーを。
こんなんで、ホームラン打てるなら安いことですが…。
しかし、運命ってヤツは、必要な時に人に必要なものを与えるもので。
私が草むらをサッと一回掻いただけで、四つ葉のクローバーは出現する。
小さい、小振りな葉っぱを揺らした四つ葉のクローバーが。
『あった…』



