走っている私を追い越して、バスがちょうど到着していた。
目にした表示は地下鉄行きで、更にフル回転させてダッシュをかける。
ゆっくりと開く乗車ドアに、飛び込むように乗り込んだ。
足が止まると、急に胸がドクドクと波打って、呼吸が荒くなる。
ヘロヘロと歩いて、もたれ込むように空いている席に座った。
バスが音を鳴らして発車する。
座席からは校舎が見える。
呼吸を落ち着かせながらも、その離れていく校舎を漠然と見つめていた。
私…飛び出してきちゃったよ。
学校、中抜けしちゃった。
みんなの前で、堂々と。
クッション性のある座席に身を預けて、少しずつ落ち着いてくると、多少罪悪感も出てくる。
やっちゃった…。
衝動的だった、まさしく。
…でも、不思議と後悔はしていない。
何故ならば、思いはまだ高ぶっている。
《試合見に来てくれ!》
試合…見たい。
蓑島くんの頑張っているところ、見たい。
何も出来なくても、構わない。
応援したい。
そんな思いは、変わらないから。
むしろ、どんどん強くなっている。



