「…朝練終わり!…撤っ収ーっ!!」



キャプテンの合図で、一斉に片付けに入る。

けたたましくガタガタと物音をたてて急ぐ中、グランドの傍にマイクロバスがゆっくりと徐行して到着した。

普段、サッカー部も使うマイクロバス。

本日は、野球部が使用する。

私達の嵐のような片付けの最中、野球部員がぞろぞろと一人ずつマイクロバスに乗り込んで行くのを横目で見ていた。

出発、するんだ…。



『頑張って』



今なら、言いに行けるよ…?



カバン、バットを手にバスに向かう蓑島くんの背中を見つける。

縦縞のユニフォームに、背番号が光に反射して少し光った。



「星月」

「………」

「…星月、鍵!」

「…あ、あぁぁっ!はいぃっ!」



振り返ると、そこには瞳真がいる。

気難しそうな顔で、倉庫のドアを指差していた。



「あ、あぁ…ご、ごめん」



慌てて鍵穴に鍵を入れて回す。

動揺が滲み出ているのか、手元がガクガクとしてスムーズにいかない。



蓑島くんの背中を見つめてボーッとするとか。

私、何やってんだろう…。