「悠介が緊張してるとか、面白いでしょ?」
「あ、うん…」
…だなんて、蓑島くんに失礼だよね。
でも、そう言い出した横川さんは、まだうふふと笑っている。
「…うちの野球部は、ここ数年北海道予選の常連になってるから、できれば今大会もブロック代表権取りたいって思うんだけど、今回ばかりはくじ運がね…でも、強豪相手だからって、諦めてる部員が一人もいない。悠介もそんな中でスタメンに選ばれて、プレッシャーになってるのかも」
「プレッシャー?蓑島くんが?」
これも、意外…!
プレッシャーとは何の縁もなさそうなのに!
「意外でしょ?…悠介、他人に不安を見せないから」
不安を…見せない?
「まあ、何とかなるさとも思ってるんだけどね」
ポジティブシンキングの裏に抱える不安。と、いうやつだろうか。
私もそれによる葛藤という経験はある。
まあ、最後はドーンと全力でぶつかっていくしかないんだけど。
…だからか。
本日やたらとテンションが高かったのは。
確かに。瞳真へのあの絡み様は、不安を誤魔化していたのかもしれない。
だからって、耳に息を吹き掛けなくてもいいと思いますけど。



