カゴを持って洗濯室に入ると、中には先客がいた。
「…あ、星月」
「あ、横川さん。お疲れ様」
「うふふ。お疲れ」
横川さんは、洗濯室に一台しかない乾燥機の前に立っていた。
ただいま使用中のよう。
お互いマネ同士。洗濯室で出くわすことはしょっちゅうだ。
その度に、最近どう?なんて、お互いの部活内の話に花を咲かせる。
蓑島くんと偽物のお付き合いを始めてから、横川さんとは更に話す回数が増えた。
「悠介、あいつバカでしょ?」とか「パスタ屋連れてってもらった?あそこ美味しかったでしょ?」とか「あそこでCのロゴマークのワンピ買ったの?どんなやつ?」などなど。
いろいろ蓑島くんから話を聞いているようだ。
「乾燥機使う?」
横川さんは、使用中の乾燥機を指差す。
「大丈夫。洗濯だけして乾燥室に干すから。タオル?」
その乾燥機を覗いて問い返すと、横川さんは頷く。
「うん。明日試合だから朝までに必要なんだ」
「…試合?」
「あれ?悠介言ってなかった?明日試合なの。ブロック予選の準決勝」
「えっ…」
準決勝?!
そんな話、全然。
今初めて聞いた。



