はぁ…何なんだろ。あの二人。
それに、蓑島くん、今日は一段とテンション高いような。
あっちの方向へと消えていった二人を、呆然と見守る。
「おー。またやってんのかあの二人」
私の横には、いつの間にか伊野くんが立っていた。
「…いつもああなの?あの二人」
「うん。蓑島が瞳真にちょっかいかけんだ。体育の時間、いつも。瞳真のこと好きなんだろ。美少年だから」
「へぇ…」
伊野くん…その発言、ちょっと誤解を招くよ。
「でも、今日は一段と蓑島テンション高いなー。さっきのサッカーの時もやたらうるさかった。ばちこーい!って。野球じゃねえし。あはは」
「ふーん…」
やっぱり、今日はいつにも増して、なぜかテンションが高いのか。
何でだろ。
考え込んでいると、伊野くんに「ねえ」と声を掛けられる。
「ん?何?」
すると、少し間を置いてから、伊野くんは改めて口を開く。
「…せづマネ、本当に蓑島と付き合ってんの?」
「………」
何で、改めて…。
「うーん…まあ」
そうです!と、まだはっきり自信満々に言えない私。
言葉を濁すような返答をしてしまった。
だって『偽物』の壁があるので、何となく。
そんな私の反応に、伊野くんは「ふーん…」とだけ答えていた。



