…でも、私は気付いていなかった。
今度、彼と出掛ける際に着る服を買う。
こんな行動を起こす自体、心が蓑島くんに侵食されかけている、ということを。
買い物をして、待ち合わせの場所に向かう。
ほぼ時間ぴったりに到着するように、そこら辺のベンチに座って時間を潰してから向かった。
ドキドキしながら、足取りは重く。
…みんな、どんな顔をするだろう。
真琴みたいに喜んでくれるのか、それとも…。
でも、非難される覚悟はできている。
大丈夫。素直な気持ちを、正直にみんなに話すだけ。
そう意気込んで向かった待ち合わせ場所は、先日みんなと出くわした駅のコンコース。
そこにはすでに、制服姿やジャージ姿の女子が数人集合していた。
みんなが…いる。
『…あっ!星月!』
『星月だー!おひさー!』
『ちょっ!…星月ぃーっ!』
『み、みんな…!』
私がそこに姿を現すと同時に、みんなが一斉に走ってこっちにやってくる。
あっという間に取り囲まれ、真っ正面、背後、横から一斉に抱き付かれる。
あまりの勢いに、体がグラグラと揺れた。



