「おはよー!愛しのマイワイフ!」
私に向かって、満面の笑みでぶんぶんと手を振っている。
「ごめんね?ごめんね?」と、女子の波を掻き分けて私の方へとやってきた。
「星月おはよー!久々だー!」
「おはよ。…って、一日会ってないだけでしょ」
「一日でも会えないのは嫌なんですわー。…あ、村河さん、おはよ!」
「あ、おはよう、蓑島くん…」
美優、急に挨拶されてビックリしている。
この馴れ馴れしさ、知らない人はビックリするよね。私はもうとっくに慣れた。
「…そうだ、蓑島くん。昨日、野球部試合勝ったんだって?蓑島くん、スタメンで試合出てたって」
「そぉーなのよ!…あぁ、愛しい俺のこと、ちゃんとチェックしてくれてるんですね?愛されてるな俺…」
「いや、昨日部活行く時、玄関でちょうど横川さんに会って聞いたの…」
「2安打2得点ですよ!…ご褒美にほっぺにチューして」
「ばっ!…何言ってんの!」
冗談とはわかっていても、恥ずかし過ぎるので手で押してどつく。
しかし、そんな微々たる攻撃なんて、彼にはびくともせず「あはははー」と笑って誤魔化される。
「じゃ、続きは教室で!」
「…あっ!」
手をぐいっと引っ張られて、あっという間に教室の中へと連れて行かれた。
もう!強引なんだから!



