さすが、我が校一のイケメン、ミスター。
朝っぱらから、授業合間の休み時間や昼休み。
放課後まで、こうしてファンの女子に囲まれて、キャーキャー言われることはしょっちゅう。
…そういえば、昨日は試合だかで学校には来たのは放課後になってからだった。
蓑島くんも愛想が良いからか、嫌な顔ひとつせず自分を囲む女子たちを相手している。
だから、ファンたちも喜んじゃって。
大変だね…と、いうか何なのか。
…本来、彼女ならヤキモチを妬くところでしょうか。
でも、私は一応『偽物』の彼女なので。
本当にいつも大変ですね、としか思えない。
それゆえの複雑さはあるけど…。
「蓑島くん、今度いつ私とデートしてくれるの?!」
「そうよ!そうよ!待ってるんだからー!」
「あー。ごめんごめん。今は彼女いるからダメ」
「えー!もぉー!」
私の隣にいる美優も、その光景を見てポカーンとしている。
「蓑島くん、すごいね…ファンが」
「うん…」
美優の言うとおり、本当にすごい。
朝っぱらから力の限り元気な女子たちだ。
そして、彼女がいるとわかってるのに、デートをせがむとは。
「…あ!」
そんな女子に囲まれている蓑島くんと目が合う。
私がここで、女子の群れとそんなあなた(…)を見つめていることに気付いた。



