みんなの不安そうな表情。

哀れんだような表情。



可哀想とも思われたくないし。

心配もかけたくない。



『だ、大丈夫だよ!』



…だから、笑顔を無理矢理作ってでも『大丈夫』と言うしかなかった。

だって、ここで私が『大丈夫じゃない』『恐い』って、泣いてどうするの?

みんながますます不安になるだけでしょ。



『そ、そっか…』



そう言うと、みんなは少し安心した顔をする。

それを見ると、少しばかりかホッとした。



『ケガが治れば、星月ならまた活躍出来るよ!大丈夫!』

『そうだね!大丈夫だね!』

『うん!大丈夫だよ、私は』



そう、大丈夫。



その後も、チームのスタッフやお母さん方、連盟の関係者、クラスの友達、少年団の部長やコーチなど、いろいろな人が私のところにお見舞いに来る。

その度に、笑顔を作って『大丈夫』と答え続けた。

お父さんにも、お母さんにも。

青森から電話をくれたお兄ちゃんにも。



みんなが帰って、一人になる。

その度に、ものすごく後悔する。




大丈夫って何?

私、全然大丈夫じゃない。

選抜も辞退して、セレクションにも参加できなくて。

これからどうなるのかさえ、わからないのに。

本当は、不安で恐くて、泣きたい。

大丈夫じゃないって叫びたいのに。