私の目の前には、いつもの余裕なスマイルを浮かべている蓑島くんが、いつの間にか立っていた。

そのまま、私を見て笑いかけてくれている。

両手には、プラカップにストローが刺さったドリンクを持っていた。



「蓑島くん…何で?」



…何で。

何で、蓑島くんはこうやって来てくれるんだろう。

神出鬼没で、すぐに私のところに来てくれる。

何で…?



「何で?って?」

「何で、私がここにいるってわかったの?」

「あー。それは、星月が走り去った方向からして、ここに抜け出るかなーと」

「………」

わかってたんだ…。



すると、そのドリンクを私に差し出す。



「はい、どうぞ。スタバじゃないけど」

蓑島くんがくれたのは、ミルクティーだった。

底に黒くて丸いタピオカが沈殿している。

「タピオカ?…ありがとう」

「うん。すぐそこのやつ。星月が伊野っちや水口から隠れているのを見ながら買ってた」

「…見てたのぉっ?!」

「あはは」

そこ、面白がって眺めてるところじゃないでしょ!



「タピオカミルクティー、まさか初?」

「ううん。飲んだことあるよ」