開かれた視界の向こうでは、姿が確認できる。
その姿を見て確信してしまった。
そこにいる男女二人は。
瞳真と…美優。
二人は、こっちには背を向けて、木陰のベンチに並んで座っていた。
その光景を目にして、頭の中がごちゃごちゃと一気混乱する。
…え?何で?
瞳真と美優、何で二人でいるの?
美優の約束って…瞳真とだったの?
それに、今の会話…。
『嬉しい…瞳真くんが付き合ってくれるなんて』
『村河が俺でいいって言うなら、いいんだけど…』
『付き合う』?
『いいんだけど』?
…え?何?
二人って、そういう関係だったの…?
突然として舞い込んできた情報に、頭が着いていかない。
そして、胸が…痛い。
二人の姿を見続けていると、激しく波打って、どんどん痛みが大きくなる。
(嫌だ…)
こんなの、見たくない。
瞳真が他の女の子と一緒にいるところなんて。
嫌だ。
嫌だ…!
でも、何でだろう。
二人から目を離すことが出来ない…!
「瞳真くん…」
美優が立ち上がって、瞳真の方に体を寄せる。
「…好き…」
下から覗き込むように、顔を近付けていて…。
(だ、だめっ…)
ダメなら…嫌なら見なきゃいいのに。
目を離すことが出来なかった。
そして、一部始終を目に焼き付けてしまう。
二人が唇を合わせるところを…。



