ボールが地を跳ねる音。
トラップした時の足にボールの当たる音。
スパイクが土を擦る音。
張り上げる、声。
言い訳を考えることなんて忘れて、ただ聞き入っていた。
思いを…馳せながら。
(………)
あーだこーだ考えても仕方ない。
行こう。
「…星月?」
再び足を進めようとした時、後ろから人の気配と足音がした。
名前を呼ばれて反射で振り返る。
「あ…瞳真」
そこには、先週の件以来、顔を合わせるには気まずい人が…。
目が合ってしまい、思わずぱっと逸らしてしまう。
「星月、遅刻か?珍しいな」
「あ、あ、うん、まあ…と、瞳真、練習は?」
「ちょっと抜けてた」
「あ、そう…」
気まずい…。
先週のことを思い出してしまった。
恐らく、バカップルと思われている…。
気まずさゆえ、話し方もしどろもどろになってしまう。
間が持たない。二人きりだと余計。
早くグランドに…。
「れ、練習、行こっか…」
「…星月、俺のこと避けてるだろ」
「えっ…えっ!」
あ、ああぁぁ…。
何の前触れもなく、いきなりブッ込んできた!
その一言は、私を動揺させるには十分だった。



