何で、そこでドヤるの。



と、思っていると、蓑島くんは彼女たちに手を振ってこっちにやってくる。

「行こ?」

そう言って、私の右手をそっと触れるように取る。

きゅっと優しく握って、歩き出した。

「え、ちょっと!」

「ごめん、ちょっと来て」

握った手を引っ張られると、体が前に進まされる。

これは…何を言われるのか。




唖然とする彼女たちを置いて、その場を離れる。

すると、そこには横川さんが立っていた。



「ゆら、彼女たちとホースの片付け頼むわ」

「はいはい。任せて」



それだけを告げて、横川さんの前を通りすぎた。




ちょっと…片付け頼むって?

動画も撮っちゃうし、片付けもしちゃう…ホントにお庭番?




手を引かれたまま、しばらく歩く。

あまり人気のない校舎の陰に来たところで、蓑島くんが口を開いた。



「…まず、ごめん」



そして、足を止める。



「俺のせいで、ヒドイ目に合わせてごめん」



そう呟く蓑島くんは、私に背を向けたままだった。



「あ…」



いつものふざけた様子が、ない。

でも、それはかえって何をどう答えていいか、逆にわからなくなってしまう。